ソフトバンクホークスは育成出身の選手が一軍で活躍しています。
千賀投手、石川投手、甲斐選手、牧原選手は既にチームに欠かすことのできない存在です。
では、なぜ育成出身の選手が一軍で活躍するまでに育っているのでしょうか?
今回の記事では「育成選手が一軍で活躍している理由」についてご紹介します。
中長期計画の育成システム
2009年、王 球団会長と秋山 前監督により「常に勝てるチーム作り」を目標に掲げて三軍制がスタートしました。
育成選手としてスカウトされた人はこの三軍からスタートしていきます。
育成選手が一軍で活躍している理由
①スカウトによる着眼点の重要性
育成選手のスカウト基準は、「一芸に秀でた選手」です。
例えば、甲斐選手の場合は「肩の強さ」が光り、スカウトされています。甲子園の出場経験がなく、高校三年生の最後の大会では県大会 初戦敗退と目立った実績はありません。しかし、そういった選手でも秀でたポイントさえあれば十分に戦力となる可能性を秘めているという見方です。
②IT活用による育成法
<打撃の場合>
遅延装置を採用していて高画質の映像を4秒ほど遅らせてモニターに自動再生します。
<投手の場合>
1レーンにカメラを4台設置してあります。(キャッチャー方向から2台、横方向から1台、マウンドの真上から1台)
選手は球団から支給されているスマートフォンでいつでも映像を確認することができるようになっています。このような他球団を圧倒するITの活用により、簡単に情報を入手することが可能となり分析・改善に多くの時間を費やすことができるようになっています。
でもこれって三軍制を導入しないと実現できないのか、二軍だけでは事足りないのかと思いますよね?
次は三軍が必要な理由をお話しします。
三軍が必要な理由、二軍制だと不十分なのか?
ソフトバンクホークスは一軍、二軍、三軍で構成されています。
※セ・パ両リーグ(12球団)の内、巨人を除く10チームは一軍、二軍で構成されています。
なぜソフトバンクホークスは他球団に先駆けて三軍制を導入したのか、先ずは二軍の役割をみていきましょう。
二軍ってどういう場所?
二軍の役割は主に下記の通りです。
①一軍で戦う選手の調整の場
②選手を育成する場
どこの球団も選手を育成することが課題に挙げられます。
プロ野球選手は試合で経験を積むことで上手くなっていく側面があるにもかかわらず、二軍で試合に出場する選手は固定化されがちです。
そのため、今すぐには芽がでなくても中長期的に若手を育てていく環境が必要となります。そこでソフトバンクホークスは実践の場で経験を積むという不足ポイントを補うために三軍制を導入しました。現在、三軍だけでも社会人や独立リーグを中心に年間80試合ほど組んでいます。
実践の中で若手を育てる場として導入された三軍制から約10年、シーズンを通して一軍での育成出身選手の勝利数は35、チームの勝利数は82なので全体の42%となります。
「育成」と「勝利」を両立できる場として三軍の存在が球団にとって非常に大切な場となっていることは間違いないでしょう。